3/20/2022

管理職4つの壁(2) 理解の壁②

理解の壁、3つのタイプ(思い込み・勘違いなどのタイプA、思考停止のタイプB、責任回避のタイプC)は、前提として、問題が見える場合見えない場合に分けて考える必要があります。問題が見える場合、たとえば、購入した商品が傷んでいたら、我々はどうするでしょうか。食品であれば(たとえば、リンゴだったら)、傷みが激しければ分かりやすく、すぐに対処・交換か、もしくは商品を外から見てそれが一目瞭然の場合は、その商品ははじめから買わない、事前に回避するといったことができます。

PC、スマホ、エアコンや車など、機械ものが不具合をおこしたり、故障した場合も同じこと。すぐに対処・修理を依頼するか、事前に予防やメンテナンスをします。という具合に、問題が見える場合は、非常に分かりやすく、また発生を未然に防止することもできる場合がありますし、また、そうすべきでしょう。

ところが、一見して、問題が見えない場合はどうなるでしょうか。見ることができないものとか、見ているが実はまったく気づかないことは珍しくありません。

たとえば、コロナ禍での在宅勤務の状態化により、部下や同僚のモチベーションが低下していることなどは、通常、見ることができない、または見えづらい問題として挙げられるでしょう。というのも、人によって見方や解釈が異なり、コロナの前と今で、モチベーションなど何も変わらないとみている人もいるからです。また、人によっては、見ているが気づかない例として、企業や事業の統廃合による組織文化の変容などが該当します。組織文化の問題などは、後でじわじわ来る、5年、いや10年以上も経って、はじめて少し気づく、「何か、少し違うな、変だな」という類いのものです。

ほかにも、問題はおよそ分かっているが(或いは、分かっていると思っているが)、原因が分からないとか、根本的な対策を練ることができない・分からないものもあります。こういった問題を素早く察知し、いち早く効果的な対策を打っていくためには、視点を変えたり、視野を広げたり、視座を上げたりするなど、知識や経験を次の実践の場に活かせるような知恵が必要となります。

それでは、これらの見えない問題を発見し、解決するためにはどうすればよいのでしょうか。それは、問題は何か、何故それが問題なのかをはじめに明確にする、問題を定義することから始めることが適切だといえます。問題は、現状とあるべき姿のギャップと、「論理的思考」ブログの「問題を見つける①」で述べました。

上記ブログと重複する部分がありますが、問題は現状とあるべきのギャップ、これが意味するところは、究極的には次のとおりとなります。すなわち、具体的な目標意識やイメージなくして本質的な問題を見つけたり、根本的に解いたりすることは難しいということ。何故ならば、問題は人や組織によって認識の仕方が違う上、解決に向けた時間軸(いつまでに)も異なることから、問題解決アプローチが自ずと異なるものになっていきます。また、問題解決のステップや手順、ロードマップやスケジュールなども一様ではありません。さらに、あと一つ加えるならば、(これを言ってしまえば終わりの感があるかもしれませんが)経験上いえることのひとつに、現状を変えようとする意識のない人には、問題は見えません。これが言い過ぎであれば、問題が見えないケースが非常に多いといえます。

ただ、それでも、問題を解決しなければいけない立場の人にとって、周囲に気づきを与える、解決の場に参画してもらう、或いはそうさせるためには、

現状を見えるようにする、いわゆる可視化・見える化が有効です。但し、見えない人に対して見えるようにするには、その問題実態が、目の中に自然と飛び込んでくるような状態にすること、強制的ともいえる仕掛けが必要です。

従って、問題の内容にもよりますが、たとえば、模造紙を使った巻紙分析(或いは、弊社のダイナミック・ビジュアリゼーション・モデル/DVMと命名しているボトムアップアプローチのコミュニケーションツール)や、分かりやすいプロセスマップなど、ファクトを有無も言わせず、視覚的に整理して提示することが効果的です。

また、説明する対象が経営層などであれば、あまり細かすぎる、部分的な事実提示ではなく、トップダウンアプローチで、対象の全体像を分かりやすく俯瞰できるようにすること、たとえばそういったマップ(弊社ではこれをビジネス・ファンクション・マップ/BFMと命名し、頻繁に活用しています)を用いることが威力を発揮します。

ほかにもオーソドックスなところでは、ロジック/イシューツリーや、3C(Customer, Company, Competitor)はじめとしたフレームワークなどを使います。(ですが、残念なことに、これらオーソドックスなものでは、上述の目の中に飛び込んでくるような状態にすることは、難しい場合が多いです。)

問題はおよそ分かっているが(または、分かっていると思っているが)、原因が分からないとか、対策を練ることができない場合には、問題・原因・対策を定義する基準を明確にしたり、あるべき姿やゴールの設定と共有、イメージをとにかく素描してみることが有効です。また、制約条件の確認と期日の設定、問題の構造化と展開、解決シナリオを作成するといったことが、問題を見えるようにする鍵となります。状況に応じて、やり方はいろいろありますが、およそ多くの場合、論理的な思考が求められます。少々長くなりましたので、続きは次回のブログとします。


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