モノの値段がどんどん上がっています。電気製品などは、一部メーカーのものがニュースで取り上げられはしましたが、驚嘆するほど値上がりしています。いつのものと比べるのかにもよりますが、聞くところでは、2年前と比較すると、1.5-1.8倍程度くらいにはなっているとのこと。住宅に至っては、大手ハウスメーカーがこれまでの戦略を変えなければならないほどになっているとか。食料品、日用雑貨や化粧品などは、日々のことですので、言うまでもないでしょう。
周知のとおり、原材料価格の高騰というのが主な理由ですが、全ての製品やサービスが、実際そのとおりなのかというと、少々疑問が残りますし、便乗値上げが行われているのは、一部ではあるにせよ事実です。ですが、それよりも、ここで問題にしたいのは、本当にサプライヤーと交渉しているのかということについてです。
サプライヤーも苦しいので、何でも交渉できるというのでは勿論ありませんが、同一製品で、大幅に値上げされているにも関わらず、製造業や小売業によって、その同一製品の割引幅が大きく異なるものがあります(販促金などでは説明がつきません)。さすがに、ここで具体的に社名や製品名を記載することはできませんが、そういう会社が一定数存在しています。
いろいろな理由があるのは、十分想像できます。その中のひとつに、うちは大手じゃないから(または、大手だからそう簡単にはできない)というのがあります。大手じゃないケースでいえば、所謂(広義の)部品メーカーで、この機に大手の完成品メーカーとつきあいたいと思っているようなところです。
おかしなことに、最近は一般消費者でさえ、モノによってはウェブ検索すれば、ある程度は適正的な価格がすぐにわかるようになっているにも関わらず、そういった理由を平然と口にするのは、驚き以外の何物でもありません。
せっかく大きな事業成長の機会、業界における位置づけや序列?などを変えられるかもしれないのに、そういった発想は一切せず、他社とまったく同じの横並びの姿勢で、日々ものごとを処理しています。相対的に言えば、大手完成品メーカーほど、実は価格に対してシビアであるにも関わらず、それさえ知ろうともしていないところが少なくない・・・。
また、削減できたコストを、次の成長投資の原資に充てるということも、可能です。ですが、大変残念なことに、有名メーカーや大手小売業であっても、近年、あまり成長していない企業には、このような考えは存在しないことが多いようです。デジタル投資にお金がかかるからといって、組織的なコスト削減の取組みや努力は殆どせず、むしろ何もしないか、或いは、非常識極まりない言い回しで、言いやすい相手/サプライヤーにだけ言うわけですから、不良品や粗悪品が、混じるのはやむをえないのかもしれません(決して、あってはならないことではあるのですが)。
こういった時期だからこそ、全社を挙げて、戦略的にコスト削減の取組みを行う。先に取り組んだ企業が、集団から一歩早く抜け出せるのは間違いありません。過去に一度やったから、もういいやではなく、時期を見て、再度取り組むのが当たり前であり、今まさに、そのタイミングであると筆者は思います。また、組織的且つ戦略的に行うわけですから、退室時にはとにかくこまめに電気を消すとか、少々寒くても(暑くても)エアコンのスイッチは入れないという類いのものではないことは言うまでもありません。