5/09/2022

脱炭素経営の取組み (3)Scope1①

スコープ1は、自社の敷地内から排出される温室効果ガスが対象のため、省エネが入口になっていますが、省エネだけでは到底、脱炭素で目指すゴールを達成できないのは明白です。したがって、言葉はあまり適切ではないですが、乾いた雑巾をさらにしぼり上げていくというようなことはほどほどにしないと、関係者全員が疲れ切り、場合によっては(達成すべきゴールの初期時点で)取組みが徒労に終わる可能性さえありますので、この点は(言うまでもないことかしれませんが)注意が必要です。

また、省エネでCO2削減を行う場合、前提としておさえておかなければいけないことは、再エネをどれだけ省エネしても、CO2削減には寄与しないということです。再エネは、はじめからCO2を排出していないと言われていますので、これを前提にして考えなければいけません。逆に言えば、再エネを導入すること自体がCO2削減には大きく貢献することになりますので、先のスコープ2で、予め十分検討しておくことが重要です。

省エネ対象の主なカテゴリーには、以下のものがあります。

(1)空調・換気(設定温度の適正化、高効率機器への変更、ポンプ・ファンのインバータ化、機器の清掃・不要時の停止・換気の適正化、冷温水等の適正化、空調エリアの見直し、日射の遮蔽等)

(2)照明・電気(デマンドコントローラー/デマンド監視装置、LED照明/誘導灯への変更、昼光利用による照明制御、不要時の消灯・人感センサ活用、間引き・消灯、自動調光等)

(3)給湯・衛生等(配管等の保温・断熱、空気比の適正化、廃熱回収、高効率機器への変更、冷凍冷蔵庫の設定温度適正化や設備更新等)

(4)受変電設備(高効率機器への変更、統合・休止、力率管理、変圧器遮断) 

(5)生産設備(吐出圧力の適正化ほかコンプレッサ関連、ポンプやファンのインバータ化、設備不要時の停止、工業炉等の保温・断熱、モーターやポンプの高効率化、運転時間の見直しほか)

参考: 経済産業省 関東経済産業局「省エネの進め方と現場で役立つ着眼点」


上記は、設備の変更を伴うものと、運用を変更するものに区分できます。後者の場合は、従業員一人ひとりが意識して精一杯やったとしても(たとえば部屋が無人であればエアコンのスイッチを切るなど)、ほんの僅かしか省エネ効果は得られません。ですが、前者であれば、デマンドコントローラー等を活用したり、変圧器などを高効率なものに変えるといったことで、より大きな効果が得られるはずです。

また、取組みをより実効性あるものにするためには、ミドルマネジメント以上が率先して、ボトムアップ&ダウン的な取組みを推進すべきです。軽視するわけではありませんが、現場レベルでの担当者の創意工夫に大きく依存するのではなく、部長職相当以上の主導で、大胆に、また費用をかけるべきところはかけて、取組みを加速させることが重要です。

次回のこのブログでは、エネルギーマネジメントシステムについて、少し触れてみたいと思います。


ブランディング (4)ターゲティング ②セグメントの評価i

市場特性は、様々な要因に左右されます( ブランディング (4)ターゲティング ①セグメントの評価項目 )。 規模と成長率だけを考慮すればいいというわけでは決してありません。 大規模で右肩上がりに成長を続けるセグメントが有望であることは事実ですが、それ以外の要因が同じであることはめ...