5/17/2022

脱炭素経営の取組み (4)Scope3①

スコープ1と2は自社内での排出量が対象です。スコープ2は他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出、スコープ1は事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)です(環境省・経産省のグリーン・バリューチェーンプラットフォーム)。以前に記載しましたが、ここでいう自社とは、グループ内企業は全て、自社に属することになるため、注意が必要です。

スコープ3は、自社(=自社グループ)の活動に関連する他社の排出で、スコープ1と2以外の間接排出が範囲となり、それは15のカテゴリに分類されています(上記のグリーン・バリューチェンプラットフォームのページをご覧ください)。カテゴリ1から8までがサプライチェーンの上流にあたり、原材料や輸配送、あと従業員の通勤が対象になります、9から15は下流となり、製品の使用や廃棄が対象です。

15のカテゴリのち、カテゴリ1の「購入した製品・サービス」は、原材料・部品・容器・包装資材など、自社の外部で製造するまでに排出される温室効果ガスが該当します。このため、カテゴリ1の算定には相当の時間を要することになります。

最終製品を扱う製造業の多くは、各原材料や部品について、環境省等が公表するデータベース上の原単位(標準値)を利用して、サプライヤーに寄らない算定を行ってきていると思います。ですが、これからは、各サプライヤーの実績値に切り替えていくことで、仕入先に対して適切な削減努力を促すことができるようにしていくことが重要です。また、自社の新製品や特定の製品カテゴリーなどについては、別途、排出量を戦略的にコントロールしていくことが必要になると考えられます。

CDP(Carbon Disclosure Project、イギリスで設立された国際NGO. 機関投資家が企業に対して、気候変動に関する戦略や温室効果ガス排出量の公表を求めるプロジェクト)が、2018/19年に発表したレポートによれば、スコープ3の排出量は、スコープ1と2の合算に対して、平均で5.5倍にのぼると報告しています。それによると、小売・流通では10.9倍製造で6.5倍食品・飲料で5.9倍製薬・ヘルスケアで5.8倍、輸送サービスでは2.1倍、素材で1.3倍などとなっています。

このように、サプライチェーンにおけるCO2排出量は、自社内のオペレーションの何倍にものぼることから、各社はスコープ3での取組みを加速させる必要があります。それは、標準値から実績値に基づいたものへ変更し、各サプライヤーに対してCO2の削減努力を数値を持って、客観的に要請していくことが市場から要請されるといってよいといえるでしょう。


ブランディング (4)ターゲティング ②セグメントの評価i

市場特性は、様々な要因に左右されます( ブランディング (4)ターゲティング ①セグメントの評価項目 )。 規模と成長率だけを考慮すればいいというわけでは決してありません。 大規模で右肩上がりに成長を続けるセグメントが有望であることは事実ですが、それ以外の要因が同じであることはめ...